平成ガンダム30周年である。
平成ガンダムというのだから、∀、SEEDや00、AGEあたりもすべて平成ガンダムじゃないかと思われる方もおられるだろう。
だが、ここでの平成ガンダムは機動戦士Vガンダムが終わった後の『アナザーガンダム』
タイトルに機動戦士と付かず、別の『機動~』と明記されたガンダム作品のことを指す。
そのガンダム作品とは、『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』『機動新世紀ガンダムX』の三作品である。
そして、今回紹介するのはアナザーガンダムの2作品目『新機動戦記ガンダムW』のO.S.Tアルバムである。
このガンダムW、一言で言うと、よく意味が分からない。
Zガンダム張りに政治描写が鋭く、劇中何が起きているのか理解するには初見では無理だと思う。
では、面白くないのかと言えば、確実に面白い。
完結にあらすじを紹介すると、地球圏統一連合という組織の圧制に反旗を翻した宇宙に住む人々が、5機のガンダムが地球に投下し、反撃に出るというお話である。
これがまたお話の展開がまるで読めないのだ。
まず一話目からタイトルにもなっているガンダムWが撃墜される。
主人公であるヒイロ・ユイは辛うじて脱出し、海辺に打ち上げられるが、ヒロイン・リリーナに発見され正体を観られたからと自爆しようとする。
しかし、自爆スイッチは故障し、起動しない。そのため、リリーナが呼んでいた救急車を奪い逃走。
後日、リリーナが通う学校に現れたヒイロは、リリーナからの誕生日パーティの誘いを断りリリーナの耳元で告げる。
「お前を……殺す」と。
その時かかるBGMがこのサントラにも収録されている『任務遂行』というタイトル。
あまりに有名すぎて「お前を殺す。デデン」で検索すればそのシーンからBGMがかかるまでの動画がヒットする。
しかし、有名な割には『デデン』のタイトルを知らない人が多く今回覚えて行って欲しい。タイトルは『任務遂行』である。
そして、このサウンドトラックの一番の聴き所はなんと言っても作曲・大谷幸が彩る、5機のガンダムパイロットのメインテーマである。
もうタイトルからして厨二病全開で、『黒い風が死へ誘う』は死神と言われるガンダムデスサイズのパイロット・デュオのテーマ。
『返り血と火薬の匂いの中』は動く弾薬庫ともいわれるガンダムヘビーアームズのパイロット・トロワのテーマ。
心優しい青年・カトルが狩るガンダムサウンドロックのテーマは砂漠戦が得意ということから『屍に埋もれた平和を探して』。
初登場時、スパロボの攻略本でぼろくそに言われていたシェンロンガンダムのパイロット・張五飛のテーマは『龍が泳ぐ時 すべては終わる』。
そして一番カッコいいのが主人公ヒイロ・ユイのテーマ『思春期を殺した少年の翼』。タイトルセンス抜群すぎるだろう。
そして、このCDのお買い得ポイントは、初期OP主題歌の『JUST COMMUNICATION』がフルサイズで入っていることだと思う。
これを歌っているTWO-MIXは声優の高山みなみさんと作詞家の永野椎菜氏が組んだユニットのデビュー作である。
リアルタイムで視聴していた時は、いい曲だけど、シングルは本当にどこにも売ってはおらずCDショップを転々として都会の方までやってきた記憶がある。
それがこのサントラさえ買えば、JUST COMMUNICATIONが聞けたのである。