映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が、いよいよ配信スタートとなった。TVシリーズではドラゴンボール超の後番組だったため、大人しめな印象だった第6期だったが、まさか映画でこんなにも化けることになるとは思っても見なかった。
妖怪ブームは何度か訪れており、古くは江戸時代からあるらしい。鳥山石燕という江戸時代の画家が描いた妖怪絵が大ブームになり、水木しげる氏も石燕の絵はアレンジを加えずにそのまま使っていた。妖怪評論家件小説家の京極夏彦氏のカバー絵に登場する姑獲鳥などは石燕の絵だ。
その後、ゲゲゲの鬼太郎がアニメ化され、大ブームが来る。2期が終わった後、だいたい10年ごとに新番組としてゲゲゲの鬼太郎が放送された。5期の放送の時には貸本屋時代の『墓場鬼太郎』が深夜アニメ枠で放送されたこともあった。
さて、本作は、墓場鬼太郎の中で描かれる『鬼太郎誕生』までの経緯を描いた完全オリジナル作品である。描写は犬神家の人々のような感覚で、昭和の遺産相続をめぐっての奇怪な事件を鬼太郎の親父・(劇中での呼称は)『ゲゲ郎』。そして、太平洋戦争を何とか生き残った血液銀行の『水木』がタックを組んで解決していくというお話だ。
本編の水木氏と作者の水木氏は全くの別人だが、太平洋戦争中に同じところ(南太平洋)に行ったところや、上官から玉砕を命じられたことなど、戦争がトラウマになっているシーンが数ヶ所みられる。
とにかく泣けると評判で、口コミで映画の評判が広がっていき、自分が見た時は鬼太郎が、水木、そして母親、目玉だけになっていない親父に抱っこされながら笑っているという通称『鬼太郎幸せシール』が付いてくる。これが見終わった後に見ると、またとてもエモい。こんな未来は決してないんだろうと思いながらもこうあってほしかったという思いがこみ上げてくる。
ちなみにこのキャラクターの方の水木はネットフリックス版の悪魔くんでもゲスト出演しており、数言だが、鬼太郎への想いをほうふつさせることを言う。
さて、本作の劇伴作家は川井慶次氏である。劇伴作家のコーナーでも紹介しているので、改めて紹介する必要はないと思うが、今回は第5期から引き続いての劇伴担当である。
まずはトラック1・ゲゲゲの鬼太郎ー警告ー。「ここから先は何があっても命の保証はできませんからね。警告はしましたよ」と語るシーンだ。いずみたくさんの曲をアレンジして使われており、序盤だけあってか、やや大人しめか。
そして、このO.S.T最大の聴かせ所は、「やっと逢えた」だろう。ゲゲ郎は、自分の女房を探して辺鄙な田舎へやってきた。ゲゲ郎自信は人間をあまり好きではなかったが、妻が人間が大好きだったおかげで、徐々に人間嫌いが治っていった。そんな女房との、考えうる限り最悪の再会。でも、その中でも喜びはあり、怒りあり、そんな色々な感情が詰まった楽曲になっている。
ゲゲゲの鬼太郎は公開が終わってすぐにアマゾンプライムやネットフリックスで配信されることになった。一押しの作品なので、是非見ていただきたい。最後に、鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のディザーPVを見てお別れとしよう。