劇場版アニメ『ルックバック』を見に行った後すぐに、この記事を書いている。
原作は漫画家の藤本タツキ。この作品は、2022年に読み切りとしてジャンプ+で公開され、その圧倒的なクオリティに誰もが絶賛した漫画である。
もちろん原作は読んでいるが、その時はあまり響かなかった。
アニメ映画化?と言われても最初はピンとこなかったが、映画館でむせび泣く声が聴こえるというので、気になって観に行ってきた。
上映時間は58分と映画としてはかなり短め。
しかし内容はこれでもかとこみ上げてくる感情の連続で、時間という概念を忘れ、2時間、3時間でもここにいたいという気持ちにさせてくれた。
しかもこの映画は、押山清高という監督が、脚本から絵コンテ、原画までほとんどすべてを一人で書いているというのがすさまじいクリエイター魂だ。
物語は、小学校の学年新聞で4コマ漫画を連載している藤野という少女が、先生からの言いつけで、引きこもりの少女・京本に2枠ある4コマ記事の1枠を京本に書かせてあげないかと言われ、いざ書かせてみると、背景描写がとてつもなく素晴らしく、学校にいる誰もが、藤野より京本の方が絵が上手いんじゃないのかと思い始める。藤野は、それが悔しくて、絵の猛勉強を始めるが、何年たっても追いつかない実力差に、絵を描くことを諦め、マンガを辞めてしまう。しかし……。
劇中、とてもショッキングな事件が起き、藤野は自分のせいだと後悔しきれないほどの後悔をするのだが、まるでアンサーのようにドアの向こうから4コマ漫画が届く。その時はセリフも何もないので、何が言いたいのかは読者の想像にお任せなのだろうが、恐らくありがとうが言いたかったんだと思う。
さて、この作品、ひときわ音楽が素晴らしい。透明感のあるサウンドの数々で、帰り道に思わずサントラを購入してしまったほどだ。
劇伴作家はharuka nakamura。ゲームでは『どうぶつの森』ドラマでは『引きこもり先生』などを担当していた。
とにかくヒーリング効果がある音楽で、聴いていて心が洗われるようだった。
トラック2の『空想の彼方で』は、藤野が書いた4コマを空想の世界でアニメ化した時に流れる音楽で、タイトルクレジットを見て驚いたのだが、ヒロイン役を坂本真綾が担当している。コミカルな音楽なのが、面白く、聴いていて藤野の漫画を読んだ気分にさせてくれる音楽だ。
そして、劇伴なので、なるべくなら主題歌のような歌がある音楽は避けようと思っていたが、あまりのすばらしさにぜひ紹介したい曲がこちら。『Light song』。uraraという方が歌っており、全体的に透明感のある音楽の中でひときわ際立っていた。
最後に、いつも通り劇場の次回予告を見てお別れしよう。
映画館での上映が終わったらきっと配信もするのだろうが、この作品は是非映画館で見てほしい作品である。
全てのクリエイター、アスリート、なにか夢を持っている人には必ず刺さるであろう映画だ。