映画には不思議な力があると思う。
時には人を強くさせ、時には脆くさせ、時に穏やかな心にしてくれる。
今回紹介する『アメリ』という映画は、誰もがちょっと優しくなれる、ちょっと不思議な映画だ。
小さい頃から空想の世界が一番の遊び場だったアメリ。
22歳になった今でも、パリ・モンマルトルのカフェで働き、周りの人々を観察しては想像力を膨らませて楽しんでいた。
そして、あることをきっかけに、他の人を幸せにすることに喜びを見出した彼女は、他人の人生に楽しい悪戯を仕掛け、人知れずお節介を焼いて回るのだった。
そんなアメリも自分の幸せにはまったく無頓着だったが、あるとき不思議な青年に出会い、たちまち恋に落ちる。
と言った感じの映画である。アメリを演じるオドレイ・トゥトゥが25歳の頃の映画である。とにかくアメリが可愛らしく、女の子受けすることは間違いないだろう。そのうえ、少し変わっている映画で、下ネタもあるのだが、全然下ネタらしくなく、おしゃれに感じるのだ。登場人物も、実際居たら本当に嫌な人などを色濃く描いているが、そんな人まで救っている。要するに、結構きわどい所まで書いているのに、それらすべてがオシャレに感じてしまう。どこを切り取っても、まるで芸術的な絵のように見える。これはもう魔法だろう。
監督・脚本はジャン=ピエール・ジュネで脚本は共作でギョーム・ローラン。ジャン=ピエール・ジュネは他の作品では『エイリアン4』『ロング・エンゲージメント』などを制作している。共同脚本で参加していたギョーム・ローランは『ロングエンゲージメント』『天才スピウェット』『ミックマック』など、その後もジャン=ピエール・ジュネ監督と一緒に仕事することが多かったようだ。
そんな中で、今回の音楽は重要な役割を発揮している。劇伴作家はヤン・ティルセン。アメリの他には『グッバイ、レーニン』の劇伴が有名であるが、それ以外にも個人でライブ活動などをしている。『グッバイレーニン』は自分も見たが、映画の作風が優しさで満ち溢れていて、そういう作品の方がヤン・ティルセンにはあっているのだろう。
さて、オリジナルサウンドトラックを紹介しよう。まずは2曲目『Les Jours Tristes (Instrumental)』翻訳すると『サッド・デイズ(悲しい日)』アメリのオープニングで流れる曲で、悲しさは確かにあるが、どちらかというと雨降りのようなアメリだとそんな日も楽しんでしまいそうな感じの曲である
まずは3曲目に収録されている『La Valse Des Monstres』。
日本語で翻訳すると『アメリのもう一つのワルツ』。このCD、アメリのワルツは何パターンか収録されているのだがこの曲はEDで流れる。アメリという女の子はいったいどんな子だったのか?
映画を見終わって、その余韻に浸りながらそんなことを考えるのも悪くないだろう。
さて、このアメリはネットフリックスとHULUで見られる。
とにかく、一度でもいいので、この魔法のような、お菓子のような映画をご堪能あれ。