クリストファー・ノーランがダークナイトを制作してどれだけの時間がたったのだろう?
その間にクリストファー・ノーランは様々な名作を世に出し続けた。いや、ダークナイト以前から、彼の作る映画は名作ばかりだった。
『インセプション』『メメント』『インソムニア』『プレステージ』『インターステラー』
バットマンだけでなく他のDC作品であるスーパーマンの映画である『マン・オブ・スティール』なども手掛けている。
どれも好みは分かれるが、中でもバットマン三部作の中の第二部であるこの『ダークナイト』を彼の最高傑作としてあげる人も少なくない。
前作『バットマンビギンズ』でバットマンとなったブルース・ウェインはバットマン最大の敵であるジョーカーと対峙することになる。
前編とにかく緊張感が半端なく、ジョーカーという人間が何を考えているのか全く理解できないのである。
特に腕力が強いとか、空が飛べるとかそういう特殊能力系統ではなくただ単に存在が怖いのである。
悪のカリスマのようであり、決して正義には染まらない。暴力に対し、暴力で応じたとしても、彼の決意は揺るぐことはない。
ジョーカー役を演じたヒース・レジャーはこの映画が公開する前に自死してしまったが(安易に言ってはいけないが)その気持ちになるのもわかるぐらいジョーカーの気の狂いようは半端じゃない。
この後の『ダークナイトライジング』はわかりやすくベインという知性溢れる怪力男が敵として出てきたが、こちらはわかりやすかったためか、ダークナイトほどではなかった。
とにかくダークナイトの緊張感が半端ないのだ。悪に対し何が有効なのか全くわからず、バットマンことブルース・ウェインは大事なものを失い続ける。あまりに失い続けるブルース・ウェインに見ているこっちまでもが心を病みそうになってしまう。ジョーカーなんでそんなバットマンを目の敵にするのさ?と問いかけたくなる。しかしそれでもジョーカーは問い続ける。人間の心に正義なんてものがあるのかな?と。
今回、そんなヒリヒリな劇伴と担当したのがハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワードの二名。ハンス・ジマーは映画音楽の専門家で『グラディエイター』をはじめとして様々な作品で賞を取っている。ジェームズ・ニュートン・ハワードも負けず劣らず『ブラッドダイヤモンド』など様々な作品で音楽を担当している。
では、音楽を見ていこう。
個人的に映画のヒリヒリ感が一番出てると思ったのが、『WHY SO SERIOUS?』CDのトラック一曲目の音楽で、不協和音とノイズが妙にシンクロしていて、聴いていて不快感を与えるが、これぞバットマン、これぞジョーカーという隠れた名曲になっている。
そして、やはり外せないのが『A Dark Knigt』エンディングに流れる曲で、バットモービルに乗って夜のゴッサムシティを走るバットマンのことを指す。これが長くて、16分もある。しかしながらカッコよく、緊張感も保ったまま、映画のエンディングに向かう。
最後にこれが気になった人への予告編を。
アマプラで吹き替え版が見れるが、個人的には字幕版で見てほしい気がする。