筆者の住む札幌を出た日、朝の気温はたしかに16度だった。肌寒くなったなあと思いながら飛行機に乗り、日本最大の劇伴のお祭りに参加するため京都にやって来ました。気温は36度。ダブルスコア以上の数字はダテじゃないくらい暑い…。
しかし、それ以上にアツいイベントに心躍らないわけがない。というわけで、京伴祭、京まふ前夜祭のレポートです!
前夜祭準備中。京都駅を行く人々も気になり足を止めていく。
まず紹介されたのは、インディーアニメの「まなび石と自由帳」。Vtuberの雨咲セラスさんがMCとして登壇、そして監督のみずみずナマズさん、普段は俳優業もやっているというりんさんも共に登壇して3人でこのアニメについて語ってくれました。YouTubeでもこの作品のPVを見られるので、皆様も是非。
一通りPVを見て驚きました。これがインディー??全て一人で書いて、一人で作ったと聞いてさらに驚き。アニメの制作過程ってどれだけあると思っているんだ…!
もちろん、一人で全て作成しているという事で、原画、動画などには粗さを感じる部分もあるが、桶狭間ありささんが担当されているという美しい映像にぴったりな、壮大でありつつも日常に溶け込むような優しいピアノのメロディ、まなび石という存在で街が豊かになっていく様が感じられるような、このアニメの劇伴の素晴らしさが、粗い部分などを全く気にならなくなるくらいに包んでいるように感じました。ちなみに、作品自体は2025年公開とのこと。
会場のお客様も気になっているその内容、アニメの冒頭5分を見せてくれる流れに。
冒頭でいきなりでて来る謎のぐるぐるした猫が気になった。犬もなんか虹色になっていて、常識とのズレが非常に不思議な感覚にさせてくれる。だが不思議としっくりもくる。それだけ世界観が練られているアニメなのだろうと感じた。背景の書き込みは非常に美しく、日本的な風景がどこか懐かしいような気持ちにさせられる。そしてそんな風景を引き立てているのがやはり劇伴。
不思議が現実とが乖離しすぎない奥ゆかしさを感じる音、これから何が起こってしまうのか?という、ワクワクやドキドキを内包した音、あくまでもこの世界で起きているという目線を感じるような優しい音。キャラが感じている怖さ、さみしさを内包したような音…アニメ冒頭5分間に流れた音楽だけでも、沢山感情を動かされました。劇伴担当の桶狭間ありささんは、このアニメの劇伴について「小高い丘から、カメラが移動し風が気持ち良さそうなカットだったりと、印象的な部分から着想していった。例えば音数は少なくするよう意識し、風通しの良さを感じてもらえたら」というように、一つ一つの音に意味が込められているようだった。
舞台となったのは神奈川県真鶴町、(箱根の湯河原のとなりに実在する街)。古い街並みが残っているが特に観光地というワケではなく、海沿いの街であり海に向かってなだらかに作られた街であり、さらに山に囲まれた箱庭感が短編にぴったりのロケーションだと感じたと監督は語っていた。
色んな場所にロケハンに行き、ここに人がいたらいいな、絵になるな等と感じてここを舞台に決めたらしい。
作品を3回見たというりんさん曰く、色んなことを考えさせられる、全世代に勧められる、人生を見つめ直すことができる作品なのだそう。公開が楽しみである。
作品を作るにあたって大変なことは背景美術、原画、動画、シナリオ、企画も全て一人なので孤独だったことだと。
基本はアニメーションというものはチームで作り、分担し、意見なども交わすものだが、一人だとそういった相乗効果がなくて、モチベーションを保ち続けるのが難しかったそう。
クラファンから皆さんに存在を知ってもらい、一人でやる事に興味をもってもらい、励まされたのが非常にモチベになったと語っていた。
監督は最後、今回の作品は何かを作ったり打ち込んだりしている人について作った作品だと仰った。
色んな人に届けたいが、特にクリエイター志望の人に届いてほしいと。
そういった思いを、この作品に込めたという。
最後に、この作品のフックでありタイトルにもなっている象徴の「まなび石」とはどんな思いで作ったかという質問には、特撮が好きなので、異様なものがそこにあるだけで物語が動きだす、そういった象徴として、物語のキッカケとして、ファンタジーだけどファンタジーではない作品としての象徴として描いたとのこと。
是非とも、気になった方はみずみずナマズさんのxをチェックしてみて欲しい。