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株式会社アテナ

【番外編】京伴祭前夜!まさかの超豪華晩餐会に潜入してみた

筆者は今回が初体験の京伴祭。20年ぶりに訪れた京都はとてもきれいな街で、観光客も多いが皆どこか敬意をもって街に接しているという雰囲気がとても気持ち良い。どんなフェスになるのかと期待を膨らませて挑んだ前夜祭は、軽々と期待をこえてくるような素晴らしい演奏、そしてアニメ映像とのマリアージュ。劇伴のライブに筆者はすっかり魅了されてしまった。前夜祭だけでも、札幌から来る価値は十分にある。

はじめての「僥倖」

さて、明日は西日本最大級のアニメの祭典であり、京伴祭と関わりの深い「京まふ」が開催される。明日も京都はお祭り騒ぎなのだろうと思い、会場である京都駅を後にしようとしたところ、なんとこの後京伴祭の主催である林ゆうき先生が京都駅直結のホテルグランヴィア京都の宴会場を借り切り、晩餐会を行うらしく、外部ライターにすぎない筆者も参加して良いという、有難いお話を頂いた。

よくカイジが言っていた「僥倖ッ…!」ってこういう時に使う言葉なのだなあ。などと考えているうちに、ホテルの宴会場まで連れてきていただいた。

先程まで「晩御飯は駅のホーム近くの立ち食いうどんが一番コスパが良さそうだ」などと考えていた、物価が右肩上がりの令和の世の中で、昭和40年代当時のサラリーマンの月収と大体同じくらいの稼ぎである筆者には見たこともないような豪華なホテルの宴会場だ。他の宴会場の名前を見ると「分子科学討論会」とか書いてある…。大人になってもわからない事って沢山ありますよね。

席に座らせていただいた、が。もしフルーツバスケットが急に始まり「偉くない人」って言われたら僕が真っ先に立ち上がるであろう事は明白なこの場所で、何故かスゴイ上座に座らされて、ますます混乱した。きっと林先生は誰にでも分け隔てない方なのだろう。

お食事も、アニメでお嬢様キャラが食べるような上品な盛り付けの、とても美味しい食べ物しか出てこない。給仕の方がお酒を注いでくれる。緊張して喉が渇いている筆者はビールをどんどん飲んでしまう。少し減ると給仕の方がまた注いでくれる。7杯くらい飲んだところで「しまった!このままでは酔ってしまうのでは?(既に酔っている)いやそれより、こんなに飲んで図々しい奴だと思われてしまう!京都ってそういえば言葉とは逆の意味があると聞いた事があるな?という事は晩餐会に誘われたことも帰れという意味だったのでは…」とか色々思っていたところ、主役の林先生が登壇された。

林先生の話

林先生と音楽の出会いは、林先生が高校時代にやっていたという「男子新体操」に由来するのだそう。自分で演技に合わせて音楽を選ぶことが出来るというこの競技で、林先生は音楽の楽しさに目覚め、独学で音楽を学んでいったのだとか。映像に合わせた音楽である劇伴と、リアルタイムで自分の選んだ音楽に合わせて踊る新体操、アプローチとしては真逆だが、たしかに共通点は多そうだ。そういった部分に、林先生の絶妙にキャラの動きと合う劇伴の秘密があるのかもしれない。

その後、林先生が「自分が新体操をやっていたと証明する」と仰ると、ステージの上でとても綺麗な倒立を披露していた。そして足をおろす際にステージに用意されていた譜面台のライトに足を引っ掛けていた。

その後は、アニメ「僕のヒーローアカデミア」音楽プロデューサーの小林健樹さん、有馬由衣さんが登壇され、林先生と色んなウラ話をされていた。

特に印象的だったのは、林先生はよく音楽プロデューサーに喧嘩を売りに行く(グイグイ意見をぶつけるタイプ、という意味合いだろう。)というお話。もちろん物騒な話ではなく、ものすごく高度なお話だった。例えばアニメには「1秒に24コマ」のフレーム数があり、そのフレームが一つ違うだけでも劇伴の聞こえ方、アニメ映像の映え方が全然違ってくるというのだ。そういう部分を林先生は意見してくるのだという。ある日、意見を言った後有馬さんが黙ってしまい、「怒ってはるのかな?」と思った矢先に、有馬さんが無言のまま隣の椅子を引いてくれた。「たしかに良くなった。もっと意見を聞かせてくれ」と認めてもらえた気がしてとてもうれしかった、と林先生は子供のような笑顔で仰っていた。

そういった、非常に細かい部分に重きを置いているから、そして心からアニメを良くしよう!という想いがあるからこそ、日本はアニメ大国なのだなあと唸る事しか出来ない、とても貴重なお話である。

終わった後も…

楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもので、あっという間にお開きの時間となった。筆者はちょくちょく喫煙室に行くため宴会場の外に出ていたのだが、先程から何度か憧れの目で宴会場を見ている男性がいた。中から出てきた筆者に「これって、あの作曲家の林先生の晩餐会…ですよね!?」と尋ねてきたのでそうだと答えると、目をキラキラさせて「昔から大ファンなのです」と言ってきた。傍から見れば腕に「京伴祭スタッフ」という腕章をつけているが、筆者は末端も末端。尋ねる相手を間違えましたね…と思いながら情けない笑顔を浮かべて男性を見ていると、林先生の所属する「懐刀」のスタッフさんが林先生を呼んできてその男性は林先生に念願の挨拶をすることが出来たようだった。優秀なスタッフさんが偶然そばにいてくれて良かった。そして、本当に腰が低く素敵な対応をされる林先生を見て、本当にこの方は分け隔てなく接する人だったのだな、と再認識した。

前夜祭の後に、こんな素敵な事があるなんて。京伴祭本番がますます楽しみになってきました!

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