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株式会社アテナ

京伴祭前夜祭、京都駅でまさかの無料ライブ!「小市民シリーズの劇伴」

小市民シリーズ、劇伴作家小畑さんのご挨拶。

小市民シリーズ。氷菓などでお馴染みの直木賞作家の米澤穂信先生の作品であり、2024年の夏アニメとして高く評価された作品だ。

聖地は京都からもそこまで離れていない(というと、北海道出身のやつは距離感がバグってると思われるかもしれないが…)岐阜県岐阜市。元は青春ミステリー小説のシリーズで、4部作になっている。JRとコラボして聖地巡礼に多くのファンが集まったのも記憶に新しい。今からすでに二期が楽しみな作品である!

あらすじとしては、主人公である小鳩常悟朗と小佐内ゆきの二人が「小市民たるもの、決して出しゃばらず日々を平穏に過ごし、それを妨げる事からは断固として回避の立場をとるべし」という指針に沿い、互いに助け合う互恵関係を結び、小市民を目指すという物語。しかし彼らが目指す方向とは裏腹に、数々の事件に巻き込まれていく…といった内容。非常に美麗な作画、小気味良いテンポで進む物語、面白い構図や構成が目を引くとても面白いアニメだ。今回の前夜祭でも第1話の印象的なシーンが何度か流れていたが、聖地巡礼したくなるのも非常によくわかる。背景の書き込みのリアルさや描写のリアルさから、なんだか聖地を巡っていたらふと下校中の二人に会いそうな錯覚にとらわれるほどだ。

さて、そんな名作「小市民シリーズ」の劇伴の演奏がいよいよはじまる。各曲の感想など。

気付けばお客さんは超満員となっていた。お客さんの皆さんは上品で、音もたてずに着席していたのだ。まずはアニメのpvが流れ、そして演奏メンバーが出て来た瞬間、否が応でもボルテージは上がる。劇伴好きの中ではもちろん、YouTubeのテレ朝公式チャンネルから出ているメインテーマの動画には絶賛のコメントだらけ。まごう事なき名曲がこれから演奏されるのだから当然の反応だ。

小市民シリーズの劇伴には、非常に多くの楽器が使われており、今回の前夜祭ではドラム、ベース、ギター、フルート、そしてストリングスに4人というバンド編成であった。楽曲的には、全体的に少しノスタルジーを感じられるような音が特徴といえる。

一曲目はいきなりのキラーチューン。どこか日本的なメロディと中世ケルト音楽っぽいような音色との融合が心地よいメインテーマ一期の一話で流れていたインストバージョンだ。

そして後ろの映像との融合は見事という言葉だけでは表せないほど。何度鳥肌が立ったかわからない。アコースティックギターのリフがずっと気持ち良い。他の音がブレイク(楽器が全て休符の状態)に入ってアコギのリフだけになる部分の、次の盛り上がりへのワクワク感も最高だ。映像とキメがバッチリ合うのが気持ち良すぎる!これが劇伴の聞き方の正解だったのか…。

メインテーマが終わり、万雷の拍手。そして作曲家小畑貴裕さんのご挨拶。続いて番組プロデューサーさんのご挨拶のあと主人公である小鳩常悟朗役の声優「梅田修一朗」さんがステージに上がりご挨拶。

声優さんって普段の声もものすごく良いんですね。落ち着きのある美声に会場のファンの方々もテンションが上がっているようでした。

次の曲は「捜査」。アニメでも手掛かりなんかを探しているときにかかる曲だ。不思議に立ち向かう、まさしく捜査してます!感が、ヴァイオリンやヴィオラのトレモロから感じる。

そして、迷宮入りしたかのような旋律…不穏な音楽を乗り越えると、また冒頭に。この楽曲は各話ごとに小鳩君の探偵活動中にかかっている楽曲なので一番アニメで聞きなれているかもしれません。

次の曲、キュートな小佐内さんは主人公の後ろに隠れがちなヒロイン、甘いものが好きという小佐内さんのテーマソング。

音色から可愛らしい雰囲気が漂う。ベルや木琴の音が心地よい。

短い曲の中にどこか芯の強い彼女を表しているような雰囲気もあると感じた。

次は「復讐」

冒頭からアコースティックギターのアルペジオに大きな音でバイオリンがメロディを奏でるダイナミックな楽曲。この感覚をなんと表現すれば良いのか

回想のような、ここから物語が収束へ動き出すような…そんな音色だ。

次は流れでそのまま曲に入ったため曲名はわからず。のどかな曲で、主人公ふたりが日常を過ごしている映像が流れ、フルートが主役のほっこりソングだ。エレクトリックピアノ特有の旋律も気持ち良い。

次はまたギターのアルペジオからはじまる曲。フルートがのってきたら、いきなり適度に田舎な風景が頭に入り込んでくるような素敵なメロディ、朝の曲だろうか?少しまだ眠いかのような、それでいて朝日の爽やかな光がカーテンから漏れ出てくるようなメロディ。少しずつ活動的になってくる朝を、少しずつ重なってくる音で表現している。流れているアニメ映像のせいか、牛乳が飲みたくなってくる。実家って、こんな感じだったよなって思える曲

「泣きながらタンメン」という7話で出てくる演歌!インパクト抜群の音を流したいという監督の無茶振りから出来た劇中歌だという。

なんというか、演歌あるあるを詰め込んだような楽曲で、多分、未視聴の方でもあれ?この曲は聞いたことある?と錯覚するほどの完成度、小畑氏は演歌は初めて作ったと仰っていたから驚き。

次の曲、ケーキ屋のショーウィンドウをながめる小佐内さんの映像に、ボサノバ調のゆったりした伴奏が合っている。カフェでのリラックスタイムといった様相、コーヒーと、洋菓子が食べたくなる楽曲だ。

あらためて小市民シリーズはオシャレな楽曲が多いなと感じた。次の曲もジャズ調の、やはりクラシカルなカフェや、レストランなんかに合いそうな楽曲。話し合う場面の多いアニメだからこそ、こういった日常でかかっていても違和感の全くない、良い意味で溶け込んだ楽曲というものが似合うのだろう。

小畑氏は元々ジャズピアニストと仰っており、流石、ジャズピアノを弾く姿は堂に入っていた。

次は物語が動き出したような雰囲気の楽曲。ピンチでもある感じが、ストリングスの刻みから伝わる。バンドが一気に入り、緊張はさらに増す、最後の音がトニックではなく、解決するのか?どーなる!?感が最後まで続く。

最後は出演者の皆様大集合。

作曲時は映像にあわせてつくった音楽を、逆にこの劇伴祭では音楽にあわせて映像を作っている。これは本当に流行ってほしい。すごい没入感で劇伴が聴けるのだ…!京伴祭当日も楽しみになってきた!という所で、次回に続く。

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