リハーサルの風景。緊張感がこちらにまで伝わる。
9月22日、ついにこの日が来た。京伴祭の本番である。前夜祭、そして共同開催となっている京まふこと京都国際マンガアニメフェアの熱も冷めやらぬままの京都が、さらに熱くなる瞬間なのだ。京まふは西日本最大のアニメの祭典なので、西日本のみならず日本中から、いや世界中のアニメ好きがここ京都に集まっている。アニメを見た時の感動というものは、映像、声、効果音、そして劇伴の全てが脳裏に残っているものだ。そしてそれこそが漫画では表現できない部分でありアニメの最大の強みであろう。何度も見てきたアニメというものは、映像を見ただけでもその全てが脳内再生できるものであり、もちろんそれは逆も然り。京都劇場で響く音楽は、まさしく僕達にあの時の感動を脳内再現してくれる。しかも家でアニメを見る時というのは、大体少人数、というか基本1人で見る事が多いものだ。そんな「あの瞬間」の感動を、大勢で一緒に分かち合うことが出来るこの日を心待ちにしていた人々の熱狂は、想像するだけで鳥肌モノだ。
まだ始まってもいないのに、ああ、始まったら終わってしまうんだな。と何故かセンチメンタルな気持ちになるほどに楽しみにしていた京伴祭。時計は16時を指し、ついにスタートした。
まずは音声AIキャラクターの「梵そよぎ」が画面上に出てきて、京伴祭の注意点や楽しみ方等を伝えてくれた。そんな画面の中にもう一人、なんと梵そよぎの中の人である声優の「梶裕貴」さんがコラボ。良い声の二人によるアナウンス動画にお客さんもソワソワしている様子。梶裕貴さんと京伴祭主催の林ゆうき先生は、普段からプライベートでも食事に行くほど親交があるとのこと。これほどまでに豪華なゲストが京都に集結している理由は、お客さんと同じ。林先生、そして今日の出演者である作曲家の皆様の劇伴に魅了されているからだ。
15:30のオープンからスタートまで、どんどんお客さんが埋まっていく
さて、梵そよぎと梶裕貴さんのアナウンスが終わると、本日のMCアシスタントであり、声優の花柚さんが登壇、1人なのにアシスタントとはこれいかにと思っていると、メインMCの方はまだ到着していないとのこと。それまでは花柚さんによる進行で進んでいく。
ライブでは、映画の応援上映のように、立ち上がっても良し、声も出してもよし、盛り上がり方を懇切丁寧にレクチャーしてくれる。なんとなく、京都劇場のこの格式高い空気なども手伝って、静かに楽しむものなのかと考えていたが、ライブフェスなどと同じような空気感だと考えて良いようだ。
そしていよいよ出演者の入場。満員の会場のボルテージは限界までガチ上がりしている。これぞライブ!待ちきれないお客さんの熱量がPA裏の関係者席にいる筆者にまでビリビリと伝わってくる。
日本、いや世界でも随一の劇伴のフェス。今年で3年目とのことだが、ここからどんどん盛り上がっていき、日本中にこういったイベントが飛び火していくような予感がするオープニングだ。
今回は初のアニメ作品とのコラボということで、青のミブロのコンセプトムービーが流れる。京都が舞台のこの作品、親和性は非常に高い。(youtubeなどでも、読売テレビアニメ公式チャンネルなどで、京まふでのスペシャルステージなどが見られます。要チェック!)
そしてなんと、青のミブロの主役級声優の3人が京都劇場に登壇。前夜祭にも来られていたちりぬにお役の梅田修一朗さん、土方歳三役の阿座上洋平さん、近藤勇役の杉田智和さん、みなさん和服が似合うなあ。
梅田さんは、主人公であるちりぬにお役に対し、「江戸時代に生きる13歳の少年、今との常識の乖離などを意識しつつも、そこは13歳の少年だという部分」を考えて演じたという。
阿座上さんは、土方歳三という人物自体、何度も他の創作物でも目にしてきた印象があるが、今作では「国を守りたいという気持ちはありつつ、しかし今はまだただの寄せ集め集団である新選組の土方という人物が鬼の副長になっていく様」を意識したとのこと。
杉田さんは、近藤勇とはなんぞや。とお客さんに質問をぶつけてきた。こぶしが口に入る人?(創作で語られる近藤勇でなく、史実に生きた近藤勇の特技とされている)ちがう。圧倒的な強さで統率するリーダー?皆に慕われるカリスマ性を持った人物?そうではなく、近藤勇とは人徳で人の上に立つ人。差別せず人を一個人として見られる目を持つ、そして人と人との運命を繋ぎ止められる人だったと思っているとのこと。そんな近藤勇の魅力をあらわせるように演じたそうだ。こういった話を聞くと、アニメの放送日がますます楽しみになる。ここで、スペシャルゲストであるお三方はステージを後にした。
そしてついに、「モノノフ」の演奏である。前夜祭でも聞かせていただいたが、今回は映像あり、照明あり。さらにグッと世界観に引き込まれる!(楽曲の詳しい説明は、是非前夜祭の記事を見てほしい)。これにより劇伴音楽の祭典の火蓋が切って落とされたのだなと、京都劇場が一体となっていた。
とにかくカッコいい曲で、このモノノフがどのようにアニメの中でかかってくるのか…!筆者もいちアニメファンとしてますます青のミブロという作品に惹かれていくのを感じた。