日本語 English
劇伴音楽をわかりやすく世界に発信
株式会社アテナ

【続々】日本が世界に誇る「劇伴」の祭典!京都が日本で一番熱くなった京伴祭本番レポート!その3

京伴祭、2番手としてステージに上がった劇伴作家は加藤達也さん。休憩をはさんだので手に京伴え〜るを持っているお客様もちらほら。お客様の中にはコスプレをしながらライブを楽しんでいる方もおられたりと、楽しみ方も多種多様。共通しているのはお祭りを心から楽しんでいるという事が伝わる笑顔だ。

少女☆歌劇レヴュースタァライトという作品から二曲。再生産という楽曲とスーパースタースペクタクルという少女歌劇を代表する2曲だ。始まりを予感させる力強い楽曲。オペラのようなアプローチのコーラスワークが一筋縄でいかない今作を象徴するかのようだ。この二曲を聴いただけで物語の世界に引き込まれるような、ストーリーを追体験出来ているような錯覚を起こすような、様々な音楽ジャンルを忙しなく移動するように、それでいて楽曲の印象は一貫してとっ散らかっていない。作曲家の端くれとして自分が感じたのは、神業の一言。衆目の中、何本もの綱渡りをしているような…どう着想してどう作曲したらこんな楽曲になるのか、不思議だ。

ちなみに今作、音楽チームにとって非常に大変な作品だったらしい。いわゆる宝塚歌劇団のような世界観のアニメ作品だったので、まず何と言っても「物量がすごかった」と仰っていたのが印象的だ。本当に苦労したので未視聴の方は是非見てほしいとのこと。ちなみにこれは終演後の余談だが、帰路につくお客様がたが「○○というアニメは見たことがなかったけど、音楽がカッコよかったから、帰ったら見てみる!」という類の雑談が少なからず聞こえてきたこと。劇伴から入るアニメ作品があっても良い。これも正しい京伴祭の楽しみ方の一つなのだろう。そしてきっと、この声が劇伴作家さん達にとって一番うれしい言葉なのだろうなと感じた。

次はDr.Stoneの楽曲!メインテーマ、そして屈指の人気キャラである龍水のテーマソング「king of the ocean」を演奏してくれた。

メインテーマの1音目から感じられるタイムトラベル感、タイムトラベルものの作品(例えばバックトゥザフューチャーやクロノトリガー等)のオマージュも感じられるようなベルの音から、壮大すぎる自然に降りたってしまったかのような。しかしそれまでの人類が築き上げてきたもの(=今作においては科学)も感じるような旋律は、アニメを見た人なら誰もが感じるところだろう。世界観の、途方もない年月、人類の歩みなどといった手に余るほど壮大なイメージを、見事に一曲にパッケージングしている。ライターとしてこんな簡素な言葉を使っていいのかわからないが、本当にこの曲、大好き!

龍水のテーマ。勇ましく海を行くかのようなイントロに男女ボーカルがのってきて心地よい。古き良き時代の、航海の厳しさ、そして冒険の楽しさを内包したような楽曲。Dr.Stoneの曲からは一貫して力強さを感じるが、その中でも特に力強い楽曲だ。

Dr.Stoneの劇伴。会場が青緑に染まる

サイリウムの色も、緑と青というドクターストーンカラーになっており、お客様が思い思いに楽しんでいるのが伝わってくる。

次は週末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?という長いタイトルが印象的なアニメからの曲。通称はすかすか。メインテーマである「always in my heart」を演奏してくれた。

フルートの音色が鳴り響く。作品の舞台設定的に「中世のような時代背景」という世界観にあった、壮大さを感じさせる楽曲だ。どこか懐かしく、そして少し郷愁を感じるようなメロディは、どこまでも続く広い世界を思わせる。そうして、もう取り戻せない美しいものや、記憶にあるそんな世界に思いを馳せ、これから出来る事を探る決意を感じる名曲。今作を知らない人でも、曲として聞いてるだけで涙が出てくるという方も多いだろう。加藤先生も非常に思い入れのある作品とのこと。

次はfree!の楽曲。京アニが制作した「関西といえば!」という作品なのでお客さんの「待ってました!」の拍手が大きくなった。女性の黄色い声援が飛び交う。

爽快感、水の中に潜ったり、息継ぎをしたりするような、水飛沫を感じるような感覚。これは映像が後ろで流れているからという訳ではない。楽曲から感じる純粋な力だ。

劇伴の持つ「凄み」というものを改めて感じた。

さて、先ほどは楽曲の力にばかりフォーカスしてしまったが、もろちんfree!の映像が良いのは周知である。京都といえば、日本アニメ界を引っ張るトップランナー、京都アニメーションがある。そして京アニ作品といえば美麗な作画と相場が決まっているからだ。三曲通してのライブで中にちょくちょく挟まれる映像にもお客さんは魅了されているようだった。

青一色のサイリウムが揺れる。なるほど、劇伴祭の楽しみ方の一つに花柚さんが仰っていた「応援上映のように!」という意味がわかった気がする。去年の京伴祭で機材トラブルに見舞われ、思うように演奏できなかったと語る加藤先生。その悔しさを晴らすように2024でのfree!の演奏がとても素晴らしいものになったことは、お客様の満足そうな声援、拍手、そして「滝行をしたかのよう」と例えていたほどの加藤先生の汗の量からも想像がつく。

次の楽曲は、ラブライブ!サンシャイン!!。今度は男性からの歓声が飛ぶ。サイリウムの色が今日一でカラフルになる。きっとそれぞれの推しの色なのだろう。

起こそうキセキを!という楽曲。アイドルという夢に向かい努力を惜しまない、ワクワク感やこれからへの希望が詰まったような楽曲だ。

次はラブライブ!サンシャイン!!の公式スピンオフ作品の「幻日のヨハネ」の楽曲。シンプルながら、ピアノ、コーラス、サックスなどなどの音が混ざりあい、一つの世界を形作っていくような、心の根源に響く曲。

ラストの曲もラブライブ!サンシャイン!!のAqours(アクア)というグループの楽曲。新型コロナのせいでついに幻に終わってしまった「ドームツアー」で披露するはずだった楽曲を、この京伴祭で披露くださるとのこと。客席から喜びの声が漏れる。

スカの要素を含んだ、非常にノリの良い楽曲。自然と体が揺れる。楽器隊それぞれの皆さんの技術力が問われるであろう、演奏の難しそうな曲だが、当然一切のブレ無し。素晴らしい演奏で京都劇場を一瞬で興奮の坩堝としてしまった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です