11月4日池袋は快晴だった。
少し前まで肌寒かった日々が続いたせいか、長そでのシャツを着ると少し熱く感じる温度差に少し戸惑いを感じていた。
やはり、今年の日本の気温の変化はどうにかならないかとクレームをつけたくなるような昨今だが、今日に限っては台風が来ないだけよかった。
待ちに待っていた日がやってきたんだから。
9月22日に京都で行われた京伴祭の東京版『東京伴祭』が池袋ブリリアントホールで行われるのである。
この日をどれだけ楽しみにしていたことか。
なにしろ私は、ライブというものを数えるぐらいしか観に行ったことがない。
それでも楽しみにしていたのはこの劇伴ポータルで劇伴に関する記事を書いていたからであろう。
その上、あんな面白そうな記事を書かれたのでは、興味を持たないほうがおかしい。
さて、開演前に京伴祭でもあった(らしい)『梵そよぎ』という音声AIキャラクターが出てきて鑑賞マナーを呼びかける。
このキャラクター声優の梶裕貴さんが協力しているらしい。AIの声もスムーズでVtuberかと思った。
梵が呼び掛けたマナーは携帯や音の出る電子機器は電源から切ってくださいというものだ。当然そこで電源を切る。
しかし、この後予想外のことが起きるのだが、それはまだ少し先のお話。
最初に登場したのは陽凪まいなという社会人アイドル『イノセントルチア』の一人だった。林ゆうきさんが京伴祭のために書き下ろした楽曲に乗せて踊りはじめた。
京伴祭でも披露されたらしいが、さすがに上手い。その後、イノセントルチア全員が現れ、『Shiny Days,Shiny Stars』という歌を歌った。
客席ではペンライトを振る人もいて、優しく出迎えたという感じだった。
さて、いよいよ加藤達也氏の登場である。一曲目は『少女歌劇レビュースタァライト』から『再生産』。
いや、待てよ? このアニメ見たことあるけど、こんなに面白かったか? こんなに引き込まれる内容だったか?
ドラムの重低音が私の下腹部を確実に刺激しながら、アニメの映像が流れる。
ヒロインが溶解炉の中に身を投じ、舞台用の衣装をまとった自分に再生産されるという映像。
これがライブというものか、と久方ぶりに鳥肌を覚える。
ペンライトを持っていなかったので、手拍子で答えるが――楽しい。
もう一曲少女歌劇レビュースタァライトから披露され、見直さなきゃと思った作品の一つにリストアップされた。
さて、楽曲は続いてはDr.STONE。この作品は見よう見ようと思いながら、まだ見ていなかった作品だったりする。
FINALSEASONの楽曲を今まさに制作中だという加藤氏。
曲調はレビュースタァライトとは打って変わって幻想的で、まるでハリーポッターを彷彿とさせるファンタジーな世界感の『STONEWORLD』
続けざまに、同じファンタジーの曲調ながらも誰かの夢が世界中に広がって今まさに世界を変えていくようなそんな勇気をくれる『KING OF THE OCEAN』
やはり面白いアニメはまだまだ存在する。少なからずこのアニメはそれだ。
もとから薦められていたのもあってそんな思いを再確認させてくれたのが加藤氏が手掛けるDr.STONEの楽曲だった。
続いては『すかすか』こと『週末何してますか? 忙しいですか? 世界救ってもらってもいいですか?』より『Always in my heart』
「この作品大好きなんですよぉ」と、作品を語り始める。「とても泣けるんです」
いろいろな人に宣伝しており、某声優さん(だったかな?ちょっと記憶があいまいですみません)が「加藤さん! すかすか、見ました!」「泣きました!」という嬉しいご報告を受けたがあとからスタッフに聞いた話では、どうやら仕事中に隠れてみていたとのこと。「ちゃんと仕事してくださいね。ちゃんちゃん」というオチ付きでした。
次は『free!』freeに入った瞬間、気のせいか、待ってましたと言わんばかりか、女性たちの黄色い声が上がった気がした。
待っていたのは女性客ばかりではない。自分もだ。この作品はすでに視聴済みだ。レビュースタァライト以降、久々に観たことのあるアニメが出てきた。
スクリーンにfreeの映像が映し出され、ブルー一色となった会場のペンライトが、楽曲を彩る。
京伴祭の時のレポートに
『爽快感、水の中に潜ったり、息継ぎをしたりするような、水飛沫を感じるような感覚。これは映像が後ろで流れているからという訳ではない。楽曲から感じる純粋な力だ。
劇伴の持つ「凄み」というものを改めて感じた。』
とあったが、この言葉がずっと印象的で記憶に残っていた。
なるほど、こういう意味かと肌で感じていた。楽曲が水泳選手の躍動感を表現しているなら、飛び交うペンライトが水しぶきを表現しているような、会場全体で映像を作り出しているような、『free!』という作品を作り出しているような気がした。
――凄い。楽しい。気が付いたら、私は、劇伴の持つ世界感の中にダイブしていた。
加藤氏の最後の作品は『ラブライブ! サンシャイン!!』
こちらの方は、ちょうど真後ろにいた男性が歓声を上げた。こういう歓声を聞くと、なんだか自分まで嬉しくなってくるのはなぜだろう?
楽曲名は『起こそう奇跡を』と言って、会場がより一層、騒ぎ出すのだから、無論知っているのだろう。
自分のような劇伴で仕事をしてきた人間ならわかるが、一般の人でも知っているということはラブライブがすごいのか、観客の熱量がすごいのか。
そのまま、スピンアウト作品である『幻想のヨハネ』のテーマ『SUNSHINE in the MIRROR』に繋がり、ラストの曲。
コロナ過で作曲したけれど上演されなかったラブライブサンシャイン幻のライブ用アレンジ曲
『Main theme of Aqours 5th anniversary!!』
みんなが興奮が感染して、私までボルテージが上がる。このライブのレポートという仕事が待っているのに、冷静さを欠いていいのか?
いや、ここは一緒に盛り上がるのが礼儀だろう。郷に入っては郷に従え。楽しんじゃったもんが勝ちだ!
というわけで、私は加藤氏の最後の曲にして初めてライブというものを体感し、心の底から楽しんだ。
最後の加藤氏へのインタビューで、今回東京伴祭用にマニキュアを塗ってもらったそうなのだがそれは奥様がオーナーを務める店でしてきたらしい。
お店の名前はty nail&eyelash。働いている人全員アニメ好きらしいです。
これを読んでる女性の方、寄ってみてはいかがでしょうか?
……でも、最後に心配事が。
これだけ盛り上がった中、申し訳ないけど。次の高梨氏は大丈夫?